ブローニュの森を歩いた。
秋の木立。葉が落ちかけた木の間を進むと、突然、白く光るものが木々の間から見えた。
近づくと、それがガラスの「帆」だと分かった。
複数の曲面ガラスパネルが、風を受けた帆のような形で立ち上がっている。その帆が12枚、互いに重なり合いながら上へと伸びている。
フランク・ゲーリー、2014年。
建物の周りを歩いた。
見る角度が変わるたびに、形が変わる。ガラスが空を映す。木が映る。光の量で、白く輝いたり、灰色に落ち着いたりする。建物の「輪郭」がない。
外側から見ると、帆の下に白い「箱」が隠れていることに気づく。帆は見た目上の形で、実際の展示室は内側のコンパクトな箱の中にある。
内部に入った。
展示室は白く、静かだった。帆の外側の喧騒とは別の空気がある。帆と箱の間には細い通路があり、そこからガラス越しに木立が見える。外と内が、ガラスの厚みの中に同時に存在している。
なぜブローニュの森に、このガラスの帆が建ったのか。
パリ市との合意で建設されたこの美術館は、森の風景と対話することが求められていた。ゲーリーは「帆」という形を選ぶことで、固定された「建物の形」を持たない建築を試みた。空と光と木立を映し続ける外皮は、いつも異なる表情を持っている。
帰り道、また木立の間から帆が見えた。
最初に見た「白く光るもの」が何だったか、少し分かった気がした。そして、なぜ森に建てたのかも。

