ナポレオン中庭に入ったとき、まず人の多さが目に入った。

その中央に、ガラスのピラミッドが立っていた。透明で、周りのルーヴル宮殿の石造ファサードを透過して映している。白い空が映っている。


ピラミッドの周りを歩いた。

宮殿の重厚な石造建築に囲まれて、ガラスのピラミッドは軽く、薄い。近づくと三角形の金属フレームが細かく、ガラス面が複数の小パネルで分割されているのが分かった。

イオ・ミン・ペイ、1989年。


地下に降りた。

エスカレーターで下りると、地下のロビーに出た。天井を見上げると、さっき外から見ていたピラミッドが上にある。ガラスを通して空が見える。地下にいながら、光が直接入ってくる。

石造の宮殿の地下に、光が充満している空間があった。


なぜルーヴルに、ガラスのピラミッドが建ったのか。

1980年代、ルーヴルは来館者の増加に対応できていなかった。入口が分散し、動線が複雑で、収蔵面積も不足していた。ミッテラン大統領の「グラン・ルーヴル」計画の一環で、ペイが設計した新しい入口が、このピラミッドだった。

ピラミッドの形はエジプト文明への言及であり、透明なガラスは「宮殿の石を消さない」という姿勢でもある。


地上に戻ると、空が曇っていた。

曇りのガラスピラミッドは、少し灰色に見えた。晴れの日に来ていれば、地下に入る光の量が全然違っていただろう。

建築の表情が、空に依存している。そのことを、見た人全員が感じているはずだった。